魚じゃありませんでした!

ヒモムシです。

ヒモムシは、その名の通り紐状の動物で、見かけの上ではその他に目立った特徴がない。動きの鈍い動物であり、底を這い回るものが多い。体は左右相称で、腹背があり、不明瞭ながら頭部が区別できる。前端に口、後端に肛門があり、いわば典型的な蠕虫である。附属肢や触手など見かけ上で目立つ構造はないが、前端に内蔵された吻があり、これをのばして摂食などに利用する。(Wikipediaより)

だいたい分かりましたね?

そう、海のなかのサムシングです。

採集されたのは元禄海山列の南方の水深2084 m。
昨年度のJAMSTECかいめいによる生物相調査にて採れた標本に基づいて新属新種として記載されました。

Hokabe, N., Koeda, K., Fujiwara, Y., Tsuchida, S. and Ueshima, R. 2022. First eumonostiliferous nemertean from the Nishi-Shichito Ridge, Genrokunemertes obesa gen. et sp. nov. (Eumonostilifera, Nemertea). PeerJ. DOI 10.7717/peerj.13857 2/17

pdfはこちらから無料DL可能です!
https://peerj.com/articles/13857/

第1著者として記載を進めてくれたのは調査に同乗していた波々伯部さん、ヒモムシの専門家です。
東京大学の学生(D)さんなので、前職の頃はたまにお昼を食べに行ったりしていました。
では、調査の様子をご紹介します。

航海中の景色はこんな感じ。約2週間、陸地が見えることはありません。
調査の主役は水中ドローンであるKM-ROV


さて、最終された新属新種ヒモムシの大きさは3 cmほど。

どうやって採集されたのでしょうか?
ホースで吸い込んだのでしょうか?いやいや、そんなことしたらぶよぶよの体がぶっ壊れてしまいます。

引き裂かれた初号機
2号機
2号機改


おさかな採集用のトラップです。

2020年の航海で深海に沈めた際には、サメにズタボロにされて悲しい目にあいました。

その教訓を生かし、2021年には改良版を作成。さらに船上で改良を加え、底生生物が登れる用のすそを追加しました。

ひょっとしたら、これが良かったのか?分かりませんが、補強したトリカルネットと網地のすき間に件のヒモムシが挟まって上がってきたそう。

なんという奇跡!

しかも、この日の潜航は海底滞在時間がわずか20分(海底までの往復にかかる時間は約4時間)という、かなり無茶なスケジュールでしたが、その20分の間に前々日に設置した場所にたどり着いてしまうのですからとんでもない技術です。

ROVのカメラにトラップが映ったとき、「何も入っていないのか」と下唇を噛んだものですが、まさかの逆転ホームラン?(でも、魚は入っていてほしかった・・・)

その後は波々伯部さんが遺伝子解析や組織解析をおこなって、既知の種や属とは大きくことなることが分かりました。

そらそうですよね。この水深からこのサイズのヒモムシを採った人などほとんどいないのですから・・・。

ちなみに採集したホロタイプは解析のために組織切片にされて保存されているそうです。

「劇場版のAKIRAのアキラみたい」といって分かる人はいるのか・・・。

小枝







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